家庭教育支援協会
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家族の未来

 家族とは何であろうか。社会の変化によって家族のあり方が変わろうとしている今日、家族の起源を知り家庭の在りかたや家庭教育を今一度考え直す必要があるのではないだろうか。
 
 チンパンジーから人間が分化した200〜300万年前、人間の子どもは成長するのに時間がかかるため母親が子どもの面倒を見て、父親が食べるものを探しに行くという分業制を引いた。父親が獲物を捕ってくれば母親も子どもも飢えること無く子孫を残すことができた。
 その後男がいつも獲物をしとめられるとは限らないことや、戦いに破れて死ぬことあるため、大勢の家族がコロニーを結成して生活するようになった。男たちは狩りや縄張り争いのためリーダーを中心に組織を作るようになり、女たちは村に残って子育てと果物や木の実を拾うため集団を形成するようになった。男が捕ってきた獲物は全員で平等に分かち合った。
 とらえた動物を飼いならせるようになるとコロニーは遊牧生活を始めた。家畜を飼ってえさである植物を求めて移動を繰り返すが、そこで隣の部族との縄張り争いや、お互いの共存のための話し合いが行われるようになった。食料に不自由することはなくなったが戦いに備えて力をつける必要が出てきた。
 次に技術の進歩によって青銅器・鉄器が使えるようになると、農業が進歩した。農業は作物を育てる土地を必要とし、定住するため、土地が家族を維持するための資産となり、家長や家族の役割はこの資産を子孫に残すことと、資産である土地を増やすことになった。子孫に土地を残すときに分割したのでは家族を養うことが出来難くなっていくため、長男が資産を引き継ぐ習慣ができた。また、資産を増やすためには土地を開墾するか他人の土地を奪うかであり、部族の長を中心とした開墾や隣の部族との縄張り争いが絶えない。武士の台頭は土地を守るために隣の部族と戦うことを専門にした職業が必要であったことを物語る。
 産業革命がおこり、工業化がはじまると生産のために多額のお金が必要になり、資産は土地から貨幣にシフトした。日本においても明治から経済体制が米経済から貨幣経済に移行し、社会のあり方が大きく変わった。家族が守る資産が貨幣になったため一家の資産を守るのは長男である必要はなくなり、経営才覚がある子どもが資産を引き継ぐ、あるいは子ども達がそれぞれに引きついて資産を殖やしていく時代になった。
 
 1990年代から始まったITとコミュニケーション技術の進歩によって、われわれはいま新しい時代を迎えている。これまでは家族やコロニー、組織などを維持するためには資産が必要であった。また、生産活動においても物を作るため、売るため、宣伝するためにも多額のお金が必要だったが、インターネットの普及によってお金がなくても取引先とつながり、仕事をすることができる時代になった。パソコンが1台あれば、3Dプリンターで設計図から模型を作ることができ、それに合わせた金型や加工する機械を持っている会社に製造を依頼することができ、一人で製造業を営むことができるようになった。アメリカでは既にフリーランサーとして3000万人が企業などの組織に所属せずに自宅でビジネスを行っている。
 生産活動のために資産が必要ではなくなったということは、家族のあり方を根本から変える可能性がある。これまでは子どもを一人前に育てるのに時間がかかったため母親は生産活動に従事しにくかったが、いまは母親が子どもを育てながら収入を得ることができるようになり、子育てと生活生産活動を同時に送ることができる。一部のアフィリエータやデイトレーダー等の女性は子育てに父親を必要とはしなくなったと言っても良い。300万年続いた人間の家族の関係が変わろうとしている。
 家庭だけではなく、会社や国家などの組織は資産や富の集合体であるが、資産が必要ではなくなる時代にはその存在価値が薄れる可能性がある。組織や国家を超えて個人が結びついて取引や、生産活動を行うようになり、枠組みとしての会社や国家は必要ではなくなるどころかビジネスの阻害要因になる。そして、これまでの成功者である会社や国家に従順な人が成功するとは限らない時代が来る可能性がある。
 これから数十年の間に訪れる新しい時代に生きる人に必要な能力は何か、それがこれからの家庭教育で教えるべき内容である。ITCの時代に必要な能力は .▲ぅ妊◆´⊃用 コミュニケーション能力 ぅ廛蹈献Дトマネジメント 等が考えられるが、いま学校でどこまで教えられ、鍛えられているだろうか。新しい時代に活躍する人材を育成するために、ますます家庭教育の重要性が増していく。
 私たちは、もっと時代を見つめ、人のあり方を見つめ直す必要があると思う。そして、次の時代に私たちの子孫が豊かに幸せに暮らすためには何を教えるべきか、世界の中でどのように生きてほしいかを考えなければなない。
 
2014年3月24
家庭教育支援協会
副理事長 平林 直人