家庭教育支援協会
トップページお問い合わせサイトマップ

コラム

  • 私たちの理念
  • わたしたちについて
  • お知らせ
  • 活動報告
  • これまでのあゆみ
  • これからの活動
  • 会報
  • コラム
  • リンク

「自己覚知」

私には、現在中学生と小学生の子どもがいます。夫も私も実家が遠方で、近くに親戚もなく、結婚してたまたま移り住んだ地域に馴染みもないため、子どもが生まれたばかりの頃は、周囲に頼れる人がいませんでした。私の子育ては、たくさんの悩みや不安を抱えながらのスタートとなりました。自宅で子どもと二人で向き合う時間は、幸せを感じる時間でもありましたが、一方、子どもがうまくできないことがあったり、他の子どもより成長が遅いと、自分の育て方に問題があるのではないかと、自分を追い詰め、孤独感を募らせることもありました。また、仕事をしていた頃と比べて、人に会う機会が減少し、社会から置いていかれたような気持ちになり、いつも焦燥感に駆られていたようにも思われます。当たり前に誰にでもできると思っていた子育てに苦戦し、すっかり自信を失ってしまった私は、家庭教育を本格的に学びたいと考えるようになりました。学ぶことにより、自分がどう育てたいかではなく、子どもがどうしたいか、子どもにとってどうすればよいかを考えるようになりました。また、時代の流れの中で、子ども達を取り巻く社会環境や家庭環境が複雑化・多様化していることを学びの中で痛感しました。

 そして、私のように不安を抱えながら子育てをしているお母さんたちを応援したいと思うようになりました。それには、多くのさりげない手とあたたかい眼差しが必要で、地域全体で、子どもや家庭を見守り育てる社会の必要性を感じはじめました。教育分野や福祉分野等が連携を深め、行政、民間の支援が届かない状況にある家庭にもアウトリーチ的支援をしていくことが大切だと考えています。そのためにも、福祉を学びたいと考えました。今、私は、再び大学生となり、社会福祉を学んでいます。

1年間社会福祉を学んだ中で、最も強烈に心に刻まれたことは、「自己覚知(じこかくち)」です。「自己覚知」とは、援助をする人が、援助を受ける人に対して偏見などの先入観や思い込みなどを持って、援助をしないように、自分自身の考え方などをしっかりと理解しておくということです。

人は誰でも、独自の価値観やそれに基づく感情をもっています。その価値観は、自分の過去の人生によって培われたもので、自分自身が生きてきた環境、生活してきた地域の文化、今まで出会ってきた人々や、所属してきた集団、家族などにより形成されたものだと考えられます。
時に理解しがたい言動をする人に遭遇する機会は、誰でもあると思います。私たちは、自分と違う価値観をもつ相手に対して、無意識に何らかの感情を抱き、何らかの判断をしています。つまり、自分の中の価値観、経験、知識などを通してフィルタリングされた情報から判断をしています。そのような人に自分はマイナスなイメージを持つ傾向があるということを自覚することが自己覚知のはじまりだと思います。たとえマイナスイメージを持つクライエントの問題に向き合う時でも、感情を隠して表面上の言葉や態度で取り繕うのではなく、自分の否定的感情を理解し受け止めた上で、自分の中にある感情を分析し、コントロールしながら、相手を理解していくことが、重要です。言葉でいうのは簡単ですが、それはとても難しく、鍛錬が必要です。しかし、自己覚知をしないで、自分の価値観だけで相談援助を進めると、思い込みによるただの自己満足な支援になる危険性があります。それは、自分の価値観をクライエントに押し付け、感情的に行動することになり、支援のプロセスが円滑に進んでいかない可能性があります。今の自分の判断はクライエントにとって正しいのか、なぜそう思うのか、その判断はどこからきているのか、常にそのことを意識し、自己覚知しながらクライエントと接していくことが、相談援助をする上で、とても重要であると学びました。

子育ても同じだと感じています。子どもには、子どもの価値観があり、親とは異なります。親の持っている狭い価値観の中だけで偏った判断をしないように心がけ、子ども達が様々な可能性を大きく広げていけるように応援し続けたいと思います。そして、学んだことを活かし、いつの日か社会の役に立てるように、これからも考え、学び続けたいと思います。
2014年4月21日
家庭教育師
家庭教育アドバイザー
渡慶次 美和子