家庭教育支援協会
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母親は公衆の面前で我が子を蹴り倒した

6月のことでした。
普段はあまり見ないfacebookですが、懐かしい友人の投稿を開くとリンクが貼ってありました。
 
『虐待』の文字に思わず開くと、母親と思われる女性に蹴り倒される幼児の映像でした。
泣いている子どもの前に仁王立ちする女性が
「てめえ!どうすんだよ!行くのか!?帰るのか!?」と怒鳴ります。
子どもは小さな声で何かを答えました。すると女性は苛立ちをあらわに
「早くしろよ!」と言い歩き出します。
子どもはしゃくりあげながら後を追いますが歩が進みません。
すると女性は振り向き「てめえ!ふざけんなよ!」と怒鳴ると同時に子どもを蹴り倒したのです。
撮影していた男性が「おい!やめろよ!警察呼ぶぞ!ビデオに撮ったぞ!」と叫び動画が終わります。
 
この動画が実際に撮影されたのは今年3月1日(土)の午前で、場所は渋谷駅の改札付近とのことです。
拡散してテレビのニュース番組で取り上げられたのは7月、その後、この母親と子どもは特定され児童相談所が介入したという続報がありました。
人物が特定されたこともあり、現在ではfacebookで動画を閲覧できないようになっています。
 
動画を撮影した男性は「ああいう事実があるということを多くの人に知ってもらうことで、子どもの虐待防止につながってほしい」と思い、動画を投稿したと語っています。そして、「このような場面に遭遇した場合、どうしたらよいのだろう」と問いかけていました。
 
さて、あなたならどうしますか?
 
『児童虐待防止法 
第6条 児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。』
 
とありますので、通告する義務があります。しかし、通告しなくても罰則はありません。
 
この母親が公衆の面前で我が子に明らかに暴力とわかる虐待を何故したのか、私は考えます。
虐待は世代間連鎖するといわれます。ということは、この母親も被虐待児であった可能性があります。
福井大学大学院医学研究科付属子どもの発達研究センター教授の友田明美氏の研究によると、
「児童虐待を受けるとそのストレスから脳が傷つき、その影響は人生のあらゆる時期に様々な問題をもたらす。成人してからも、うつ病、アルコールや薬物依存、PTSD、解離性同一性障害、境界性人格障害など精神疾患を発症することがあり、また、虐待の形はいろいろで、最近の研究では、子ども自身はDVを受けていなくても、両親間のDVを見させられてきただけでも影響が脳の視覚野に顕著に表れることがわかってきた。小さい頃に虐待やネグレクトを受けると、そのストレスを持って成長して大人になった場合、ストレスがたまると、ちょっとしたことで虐待をしてしまうことが少なからずある」のだそうです。(詳しくは、「友田明美著『いやされない傷』診断と治療社 2011」を。)
 
実は、私自身、両親のDVを見ながら育ちました。ですから、この研究結果に少し救われる思いを持ちます。
DVが日常的な環境で生育した私は、暴力や暴言、怒鳴り声はどんな家庭にも当たり前にあるものだと思っていました。小学校に上がる以前のある日、母の妹夫婦が暮らすアパートに遊びに行ったことがあります。叔母に「遊びに来る?」と誘われていったのですが、叔母がアパートの部屋に入ると叔父が部屋中を引っ掻き回してお金を探していました。叔母は「それは部屋代なんだからやめて!」と叫ぶと叔父は「うるせー!」と乳飲み子を背負った叔母を突き飛ばして出ていきました。叔母は姉と私に「ごめんね」と言いながら泣いていました。自分の家でも頻繁にある光景なので驚くことはなく、ただ「怖かった〜」と思っただけでした。
 
恥をさらすようですが、DVが日常的に行われる家庭で育つということは子どもにはどうすることもできないことなのです。そして、知らず知らずのうちに虐待は世代間で連鎖していくのです。私は被虐待児であった親が癒されることやサポートを受けることが必要だと考えています。
家庭教育を学ぶことは虐待防止にもつながります。私の場合ももちろん、自身の子育ての何が不適切であったのか、気づき、改めて、親としての成長に役立っています。ですが、悲しいかな、失敗の連続で、なかなか理想の親にはなり切れなくて反省してはやり直す毎日です。
子育ては何歳になっても気づきの連続だな、と思うこのごろです。
 
20歳の息子に「これ、どう思う?」と例の動画を見せました。すると息子は
「あんたが俺にやってきたこととなんら変わらん」と・・・
 
イヤイヤ、さすがにここまではないでしょう?いや?あったかも?
家庭教育支援協会理事
家庭教育師・家庭教育アドバイザー
財団法人日本体育協会公認スポーツ指導者水泳C
級コーチ

公益社団法人日本フィットネス協会公認ADI
木村 孝子