家庭教育支援協会
トップページお問い合わせサイトマップ

コラム

  • 私たちの理念
  • わたしたちについて
  • お知らせ
  • 活動報告
  • これまでのあゆみ
  • これからの活動
  • 会報
  • コラム
  • リンク

台湾で育つ子供たち

 最近よくお母さん達に話すことがある。それは児童の発達過程であるギャングエイジ(集団を作る小学校高学年頃の子供たち)として、仲間と過ごす体験の大切さについてだ。

 台湾に住んで感じる事の一つは、親子の関係が親密な事だ。学校で目上の人を大切にしなければならないという儒教を習う。だから、社会の風潮として、親や老人をとても大切にする。そして、恩返しのために親に送金したり、頻繁に実家に帰ったりする。

 台湾の国土が九州程であるのに対し多くの民族が暮らす。客家人は全人口の一割強を占める。現代でも生粋の客家人はいるし、客家人が多く住む地域もある。客家の名の由来は、客の様に土地に根付かないという意味がある(今は違う)。少数民族として助け合って生活を続けてきた。血縁者の絆は強く、親にとって子供は自分を助ける大事な存在だから、輪の中で輪の一員として育てる。

 反対に、日本人は「単一国家、単一民族、共通語は日本語」で育った。どこまで行っても、同じ国、同じ民族、同じ言葉。可愛い子を遠くまで旅をさせることが物理的に可能だったろう。

 更に、例えば、詰込式教育重視の時代に育った夫の世代は、少しでも良い学校に進学することが良い生活を手に入れるために必要とされたし、娯楽に興じるゆとりがなかったのも事実だろう。日本の義務教育では、家庭科や技術科など生活に必要な授業もあった。友人の台湾人女性は、学校でミシンがけを習わなかった。私が直線縫いをするのを見てひどく感動した。

 台湾の子供たちは今も昔も、放課後は家や塾で勉強をして過ごす。息子も毎日8時まで勉強する。もし仮に時間があったとしても、台湾の都市部には子供がギャング集団を作る場所がない。マンションの敷地から一歩外へ出ると四車線の道路と車が猛スピードで走っている。街に子供の姿はない。治安の不安から、小学4年の息子が一人で外に出る事は希だ。子供たちは一体どこでギャング集団を作ればいいのだろう。

 私は小学生時分、野山を駆け回って、友達と親の居ない世界でたくさん冒険した。友達は親が教えない事をたくさん教えてくれる。頭を使ったり、知恵を絞ったりして冒険する。親の価値観から脱し、広い世界を作る事が未来を逞しく生き抜くためには必要ではないだろうか。

 台湾でも日本でも親たちは将来、より楽な生活をさせたいと子供に色々なものを与える。自然環境の多い小学校へ入学するために転居したり、小さいうちから様々な習い事をさせたりする。そして、落ちこぼれないよう必死で勉強させる。しかし、学校の勉強は、たとえテストの点が10点上がっても、同じように平均点が10点上がったら、人より抜きん出ることは出来ない。後は、過酷な競争があるだけだ。

 目的は子供が自分の力で、生活資金を得ることだ。これからの世の中こそ、単一的なやり方では人の上に立つことは出来ない。自分の個性と自分しか出来ない事でお金を稼ぐために知恵を絞る事が大事だ。子供に全てを与えるのではなく、自分で考えて創り出す力を育まなければならない。「ベスト1」ではなく、「オンリー1」の意味がここにはある。

 

2016111

家庭教育師・家庭教育アドバイザー

台湾 Simpu Kids House主宰

冨田加奈子