家庭教育支援協会
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理由が分かれば自律できる

 私はあるボランティア団体で、「脳を守り、脳を育てる」という啓蒙活動をしております。
 そんなある日、小学校から生徒、父兄を対象に「ゲーム脳」について話してほしいという依頼を受けました。 
 学校では早寝早起き、ゲームやテレビ、DVD視聴時間の制限(平日1日合わせて1時間)などに取り組んでいますがなかなか成果が上がっていないようでした。
 ご承知かと思いますが、「ゲーム脳」という言葉は、日本大学文理学部体育学科の森昭雄教授の著書『ゲーム脳の恐怖』(2002年7月NHK出版)の中で使われた、前頭前野のβ波が低下した状態を表す造語です。マスメディアにも取り上げられ大きな話題となりましたが、根拠となる実験方法などに批判が出て、疑似科学とまでいわれ次第に聞かれなくなっていきました。こうしたことから、この言葉を使用してお話をすることには消極的にならざるを得ませんでした。
 そこで、生活習慣と脳との関係について、つまりなぜ早寝早起き朝ごはんが大切なのか、なぜ長時間のテレビ視聴やゲームがいけないのかを脳の働きを説明することでわかってもらおうと考えました。
 内容は、
  生体リズムについて…人は体に備わったリズムで1日を過ごしている。(すべて脳が指令)これが崩れると体にいろいろな悪い影響
 がでてくる。
  ★朝日を浴びると目が覚める→朝ごはん(脳に、寝ている間に空になったエネルギーを送るため)→
   勉強(脳は午前中が一番よく働く)→  昼食→運動(筋肉が温まって動きやすくなる)→夕食(明朝まで
   のエネルギーを摂る)→体温が上がって寝る準備が始まる→ぐっすり眠る=生体リズム

  *肝臓は脳のエネルギーのブドウ糖を12時間分ほどしか貯められない。寝ている間に脳のエネルギー
    は底をついてしまう。エネルギーが切れると脳の働きは悪くなる。だから朝ごはんが重要。
  脳の働きの簡単な説明…大きく分けて3つ=大脳・小脳・脳幹
  【前頭前野(大脳の一部)の働き】
  ★前頭前野は知能の源であり、考える、覚える、経験を生かす、アイディアを生み出す、感情をコントロ
   ールする、決断する、我慢するなど、  人間らしさ、理性を司る大切な部位。

  情報の伝わり方と神経細胞のネットワーク
   ★感覚器官から情報が送られてくると、脳の神経細胞の中を電気の信号が流れ、次の神経細胞へと
   情報が伝えられていく。同じ情報が   何度も伝わると、一番効率のいい「道=神経細胞ネットワー
   ク」が出来上がり、情報が瞬時に伝わるようになる。ゲームが上手くなったり、本がすらすら読めるよう
   になるのは、この神経細胞のネットワークがたくさん張り巡らされるから。ネットワークをたくさん作るこ
   とが脳を育てること。

  ★長時間のゲームやテレビ視聴時は前頭前野があまり働いていない場合が多いから、成長期の子供の
   脳を育てるためにはよくない。またゲームをしているとドパミンという多幸感をもたらすホルモンが出て、
   止められなくなる場合がある。

  ★ゲームやテレビの使用時間が1日1時間以内の人と、4時間以上の人のテストの結果を調べてみると
  10点以上の差がある。(2014年文科省実施全国学力テストの調査結果から)
  眠りと脳の働き…眠りにもリズムがあり、深い眠りと浅い眠りを交互に繰り返している。
   浅い眠りのときは大脳では前頭前野だけが休んでおり、昼間の学習や経験を整理して記憶として脳に  
  書き込んでいる。またこのときだけ夢を見ている。

   深い眠りの時には成長や体調に関係する成長ホルモンがたくさん分泌される。特に夜10時ごろから
    数時間が1日のうちで一番たくさん分泌されるといわれているので9時から9時30分までには布団
    に入って眠る事が大切。夜更かしをして生体リズムや睡眠リズムが崩れると脳の成長や体の成長、
  体調が悪くなる。
  暇な時間を作ろう…もし何もすることが思い浮かばなくて暇だなぁと感じたらリラックスしてボーとしてみ
  よう。すると脳は勝手に働きだして、いろんな事が浮かんでくる。そんなときに今まで気がつかなかった
  ことや、いいアイディアが浮かんだりすることがある。そんな時間を持つこともとても大切。

などで、小学校低学年の生徒にも理解できるように、絵をふんだんに使い、できるだけ分かりやすい表現で行いました。
 生徒たちは各々のレベルで自分のこととして考え、
・生体リズムに合った生活に取り組みたい。
・寝ている間に勉強したことが脳に整理整頓されて記憶されるとは知らなかったので、よく眠ることも大切なんだと分かった。
・しっかり早寝早起きをして大きくなりたい。夜更かしすることが多かったので変えたい。
・脳の働きをはじめて知った。脳について調べてみたくなった。
・リラックスした時間を持つことも大切だと知ったので、暇なときは音楽でも聴いてリラックスする時間をとりたい。
・ゲームやテレビが1時間以内の人たちと長い時間やっている人たちでは、こんなに成績が違うことに驚いた。私は、ゲームはあまりしないけどテレビを見る時間が長いので気をつけたい。オフタイマーを使うことにした。
・ゲームをやれば楽しいけど、脳では楽しいことが起こっていないとわかった。ゲームを減らす生活をしようと思う。
・私はゲームを1回始めると止められなくなる。今日の話を聞いて、やりたい気持ちを抑えようと思った。
また父兄からも
・ゲームは目が悪くなるという印象があったが、脳にどんな影響があるか知りたかったので参加した。子供はゲームが大好きで1日中ゲームのことを考えている様子で心配だったが、今日の話を聞いて子供にもゲームのしすぎはよくないということが伝わったようでよかった。
・どんどん成長する子供たちの脳を守るためには私たちの生活を見直し、また家族全員の協力が必要だと感じた。
・ゲームが脳に与える影響が気になって参加した。時間を決めていなかったのでこれからは気をつけたいと思うが、話を聞いてからは子供の方が気にしているので、自分で気をつけてくれると思う。
などの感想をもらい、想像していた以上の反響がありました。
 闇雲に制限時間を守らせようとしても、また早寝早起きをさせようと思っても、小学生の年齢にもなるとなかなか親の言うことを聞かなくなってきます。また親のほうもその根拠をしっかりわかっていなければ思いを子供に伝えることは出来ません。
 自律しなければいけない理由を知って、さらに振り返って考えさせることは、自律を育むための1つの方法ではないかと思い
 
2016年2月1日
家庭教育師
家庭教育アドバイザー
認定心理士
北島眞由美