家庭教育支援協会
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電車

 電車に乗らなくなってどのくらい経つだろう。私は首都圏出身だが、首都圏では電車に乗らない日などあっただろうか。ここ10年以上、夫の転勤に伴い地方をめぐっている。県庁所在地であっても、どこも車社会ばかりだ。帰省したときだけは電車に乗る。電子マネーのカードを持っていないので切符を買う。今どき券売機上部の料金表を見上げている人なんてほぼいない。

 今は石川県の金沢市に住んでいるのだが、在来線の改札口はこの4月にやっと自動改札になったばかりだ。しかし観光客の利便性を図るために、駅ビルの店舗などでは先行して鉄道系電子マネーを導入するという矛盾があった。

 新幹線が開通してから、市は観光客向けのバスの案内に力を入れている。しかし、小さな町を観光するには徒歩が一番効率が良い。案内板が少なくて迷うという要望を受け、あわてて歩道に路面サインを増やすなどの対策に追われている。首都圏の人は日ごろからよく歩くということをわかっていなかったのだ。

 私もかつてはよく歩いた。毎日家から駅まで歩く。乗り換えのために駅の中を歩く。中学から電車通学だったが、大変というより駅周辺で買い物をするなど楽しみも多くて飽きなかった。しかしそれは時間と体力の無駄だと、引っ越し早々我が子の塾で言われた。近所に評判の良い学校があるような地域に社宅が建っているという面もあるだろう。私も近い方が楽だということはよくわかる。

 そうだとしても私は生活の範囲の狭さが気になる。小学校まで徒歩10分。中学も同じ。高校生になっても生まれてこの方徒歩圏内から出ない。自分の親とすれ違うような見慣れた風景の中で、毎日家と学校を往復するだけ。世の中はもっと広いのにそれでいいの?と思ってしまう。もっと外に出ようよ!と思ってしまう。

 金沢市に来て2年弱。現在長男は自転車で30分、次男は徒歩10分の高校に通っている。30分が塾に無駄だと言われた距離だが、電車に30分乗るわけではないのでそう遠くはない。欲のない次男は次男で、寄り道する先がなくても問題ないらしい。何が普通だとかこうあるべきだとか決めつけるつもりはない。ただやはり、広い世界にはもっと異なるライフスタイルもあるのだということを知っていてほしい。

 春休みに帰省した際、東京駅構内のお店で『君の名は。』グッズを見かけた。昨夏に公開されたのに、いまだに上映が続く人気作だ。私が気になるのは、ロマンチックな内容よりなにより主人公の高校生たちの生活風景だ。東京と地方の対比が印象的な映画だと思った。

 

2017年5月8

家庭教育アドバイザー

沖 由香子