家庭教育支援協会
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二川論文要約「ケアの社会」を読んで思ったこと

 ゴリラやサルの赤ちゃんは生まれるとすぐに母親の体毛にしがみつき、腕の中で大人しくしています。一方、人間の赤ちゃんは自分で母親に抱きついたり乳首を探したりすることさえできません。2坩焚爾農犬泙譴襯乾螢蕕鉾罎戞■貝堊宛紊罰蔽覆暴鼎生まれます。1年で脳を成人の90%以上に成長させるため、体脂肪率はゴリラの5倍ほどもあります。

 原始時代の祖先にとっては、そんな赤ちゃんを母親がいつも腕に抱いて育てることは不可能です。身体的成長も遅く、大声で泣く赤ちゃんを安全に育てるために、肉食獣に見つからない場所を選び、人々が緊密に協力する必要があった筈です。つまり『人間の赤ちゃんは生まれつき、共同で育てられるようにできている』のです。そしておそらく、人類は協力的で共生できた集団だけが生き残ったのだろうと考えます。

 このような、血縁関係の濃淡に依らない集団生活を可能にしたのは、他の原始人類には見られない、大脳の前頭葉・頭頂葉の発達にあります。これにより獲得した社会的関係性や情報共有能力の高さは、遺伝子として現代人に受け継がれました。

 近年、多くの学者による0歳〜5歳児を対象にした研究実験では、『外的な動機づけではなく、男女の別なく殆どの子どもたちが本能的に、わかちあい、慰め、協力、支援の行為を行っている』と報告しています。人間の慈悲や道徳観が生まれつきのものであると言う実験報告もなされています。要は『人間は生まれながらにして協力し合う特性(支援行動)を持つ』と言うことです。

 これまでの経済成長モデルが通用しなくなりつつある現在、仕事や教育も競争から共創へと変化を見せている。IT技術の進歩により働き方の自由度が増す中、男女の役割や人間の序列を固定化する従来のシステムはポストモダンとしては有効とは言えない。互いに協力し合い助け合うことが一層求められることでしょう。

 共同体で暮らした現代人の祖先は、子どもから老人までそれぞれの役割を認識し、助け合い協力し合うことで喜びを感じ、進化を遂げてきました。それは家族同士の助け合いの延長だとされ、その感性は現代人にも受け継がれています。

 『ケアの社会』を、ケアの必要な人に「誰が」「どこで」「何を」「どのようにする」かが制度化された社会と、人類の特性である“自発的な支援行動”とが調和した『共生社会』と定義すると、それは、家庭の中で家族同士が協力し合い助け合う喜びを知ることから始まるだとの認識を新たにしました。

2019年4月22日

家庭教育師・家庭教育アドバイザー

進路アドバイザー

石井 登